僕の心を解放した恋愛〜あやについて

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520 :中川さん ◆d8vucMg8Ts :2005/11/14(月) 23:26:24 ID:d5G4m7+G
子供の頃は友達の家庭が羨ましくて、いつも他人の家族のことばかりを見ていた。
だから、円満じゃない家庭で育った人というのは、少し言葉をかわしただけでも分かる。
物事を丸く収める術を知っていて物腰は柔らかい。
でも、他人の感情に異様に過敏で、自分が否定され裏切られることに対しては激しく
反発する。
何より他人から嫌われることを恐れる。

綾と少し話をしてすぐに分かった。
僕と彼女は同類だと。

522 :中川さん ◆d8vucMg8Ts :2005/11/15(火) 00:01:42 ID:d5G4m7+G
綾から家庭のことを聞いたのは知り合って少し経った頃だった。

父親と母親が喧嘩ばかりすること。
昨日も自分が原因で両親が喧嘩して、それがとても嫌だったということ。
父親は苦労して生きてきた人だけれども、厳しいばかりで娘の感情には無頓着だということ。
母親は甘やかされて育ってきた人で、話していると生理的に嫌悪感を覚えてしまうということ。

共感できる部分も多かったし多少なりとも自分に対して心を開いてくれたことが嬉しかった
から、僕は綾の言うことに逐一自分なりの感想を添えて返した。
可能な限り誠実に、綾の負担が軽くなるように。

円満でない家庭で育った人というのは、どうしても他人に対して警戒心を持ってしまう。
一番信頼すべき家族というものを信頼出来ない環境の中で育ってきたからだ。
そしてその反面、強烈に自分を理解して救ってくれる存在を欲する。
そのことを僕は経験則上知っていた。
少なくとも僕と、僕が今まで唯一心を開いた人はそうだった。
524 :中川さん ◆d8vucMg8Ts :2005/11/15(火) 00:20:51 ID:keheUOO7
綾と話すようになった頃、僕は一人だった。
人生の大半を一人で過ごしてきたから今更一人でいることには何の違和感も
無かったけれど、それでも誰かを欲していた。
正確には、誰かから必要とされることを欲していた。
浅ましいことかもしれないけれども、誰かから必要とされることで初めて自分
の存在価値を見出すことが出来たのだと思う。
2chで恋愛相談に乗ったり、現実社会でカウンセラーになりたいと思っている
人は概ねそういう発想のある人だと思う。

僕は綾のことを理解して心の負担を軽くし、心を開放することで自分自身も
救われようとしていたのだと思う。
そんなことをしても救われるはずなんてないのに。

綾の家族の話を聞いた後、僕は一つの提案をした。
事実に関しても自分の感情に関しても、絶対に嘘をつくことはやめよう。
そんなことをしても後から虚しくなるだけだし、余計寂しくなるだけだ。
縁があって知り合うことが出来たのだから、誠実に本心をさらけ出し合おう。
そういう風にしないと、メールなんてする意味はないでしょう・・と。

提案からしばらく間があって、綾から返信が来た。
私もそんな風に接することが出来る人が欲しかったのだと。

525 :中川さん ◆d8vucMg8Ts :2005/11/15(火) 00:34:32 ID:keheUOO7
それから僕と綾はお互いのことを色々話した。
子供の頃はどういうことを考えていたのか。
今は何を考えて生きているのか。
将来はどういう生き方をしたいのか。

多分、世間一般のメル友というものとは話す内容が随分違ったと思う。
今何をしているのかとか、テレビの話とか、そういったことはほとんど
しなかったから。
興味があったのはお互いどんなことを考えて生きているのかということで、
瞬間瞬間にどういうことをしているのかということには余り興味が無かった。

ここでスレ住民から、綾についてもう少し具体的に・・との要望があった。
以下、550まではそれに対する中川家の回答


540 :中川さん ◆d8vucMg8Ts :2005/11/15(火) 21:04:42 ID:g2hqcgeI
まず、綾は17歳の高校二年生。
いつもニコニコする癖があって誰とでも合わせられる性格だから、周りからは
穏やかで安定した人だと思われていたらしい。
僕と話していてもそういう表面上の性格は十分にうかがい知れた。
例えば、僕のどうということもない言葉にいちいち反応してくれたり、仕事が
忙しい時にはそっと励ましてくれたり。

でも本当は違うのだろうなということは何となく分かったし、本人も自覚していた。

いつもニコニコするのは、それが一番波風を立てない方法だと思っているから。
誰とでも合わせられるのも、両親を見ているとどんな人が相手でも許せてしまうから。
いつも悲しい気分は抜けないから、ある意味その位置で安定はしている。

そして、友達はいるけど親友はいない。
表面上見せている自分と本当の自分との間に大きな隔たりがあることを
綾は自覚していて、本当の自分を見せることで他人が自分から離れていく
ことが怖かったから。

見た目はどうだろう。
精神的に沈んでいる時は何も食べられなくなるのと、根が神経質なせいか全く
太らない性質。
あまりテレビを見ないから芸能人で誰に似ているとかは分からないんだけど、
昔アルフェ?のドリンク剤のCMに出ていた人とか、保険のCMに出ている子
に少し似ていると思った。
544 :中川さん ◆d8vucMg8Ts :2005/11/15(火) 21:29:37 ID:g2hqcgeI
綾と初めて知り合った(?)日は、自分でもどうかと思うくらい暴論を
はき続けていた。
スレの趣旨は、勉強がそんなに大事なことなのかというもの。
努力をしない人間は所詮つらいことから逃避しているだけであって、
幸せと単なる逃避を混同している・・とか、
努力をしない人間なんて、社会から全く必要とされていない・・とか、
とにかく「勉強しないと幸せになれない」とばかりに、極端なことばかりを言って、
そして叩かれた。

「あなたの子供は間違いなく不幸だ(ある意味それは正しい)」やら、
「勉強ばかりしてお前みたいな人間になるなら、死んだ方がマシ(まさに正論)」やら、
自業自得とは言え散々に叩かれていた記憶がある。

本当は、無理しないで楽に生きてそれで幸せになれる人が心底羨ましいのだけど。

そんな風に感情論によって散々に叩かれていた中で、一つだけ思わず興味を惹かれて
しまうレスがあった。

「よく知っている人に、精神科医をしていてお金も稼いでいるし論文も
書いているのに、他人の気持が全く分からない人がいるのですが。
そんな人間が幸せとは到底思えないのですが何か。
娘はいつも不幸そうにしているのですが何か。」

それが初めて綾と言葉を交わした瞬間だった。
550 :中川さん ◆d8vucMg8Ts :2005/11/15(火) 22:03:05 ID:g2hqcgeI
スレ上での綾とのやりとりは少し皮肉なもの。
「不幸な家庭にいることが不幸なら、抜け出すだけの努力をすればいいだけだと思いますが何か」
「努力をしても時間的経済的な制約で当分は抜け出せそうにないらしいのですが何か」

明らかに自分のことを言っていると分かるのに、あくまで伝聞系で返す綾の言葉に
思わず心が惹かれてしまった。

こういうやりとりがしばらく続き、他の住人からは苦情が出た。
スレ違いだから、直メでやれと。

それをいい機会に、僕は上に書いたように綾に直接メールでやり取りすることを
提案した。
552 :中川さん ◆d8vucMg8Ts :2005/11/15(火) 22:27:26 ID:g2hqcgeI
その後の経緯については上に書いた通り。
お互いのことを少しずつ話した後で、何でも嘘偽り無く話すようにしよ
うと僕は提案し、綾はそれを受け入れた。

少し意外だったのは、スレとは違ってメールでの綾はとても礼儀正しかったこと。
敬語やめてもいいよ・・と言っても、
「年上の人と話すのに敬語を使わないなんて私には無理!」
とあっさりと却下。

律儀でそして気が強い。
でも本当はとても脆くて、いつも寂しく悲しくしている子だった。
555 :中川さん ◆d8vucMg8Ts :2005/11/15(火) 22:57:43 ID:g2hqcgeI
綾のことを話そうと思えば、綾が育った環境について書かないといけない

綾の父親は随分苦労して医者になった人らしい。
貧しい家に育ち、大学は奨学金をもらって必死にバイトして生活費を
稼ぎ、何とか卒業まで漕ぎ着けたそうだ。
それだけに仕事については異常に執着し、気に入らなければ看護士だろうが
患者だろうが容赦なくすぐに怒鳴りちらす。
そしてそれは家庭でも一緒。
唯一仕事と違うのは、家庭では怒鳴り散らすことに加えて暴力を振るうこと。

元々恋愛や結婚にはあまり関心が無かったらしいが、医者として優秀な父親を
見込んだ母親の父(綾の祖父)が、自分の娘の夫に是非・・と言って、父親以
外との結婚を認めなかったそうだ。
ちなみに綾の母方の家は代々医者の家柄で、母親は一人娘。
当時母親には結婚を考えていた相手がいたそうだが、その相手は医者ではなく、
結局は祖父に引っ張られる形で父親との結婚を決めたらしい。
綾はその話を、キッチンドリンカーの母親から昼間にウィスキーを飲みながら
聞かされたらしい。

そんな家庭に生まれた子供が幸せになれるわけがない・・と、綾は知り合った当初
自嘲するようにいつも言っていた。
そういう時の綾はとても寂しそうで悲しそうで、自分には光り輝くような未来が無
いということを言葉の端々まで滲ませていた。

僕はそれが嫌で、自分の時間を大切にしてやれることをやっていれば、いつか
必ず幸せになれるのだと繰り返し言っていた。
自分は少しも幸せになれないのに。
多分、自分に言い聞かせるためにも言っていたのだと思う。

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