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- 720 :◆bfrlm1kjiw :2005/11/20(日)
00:19:37 ID:2R9TfOxZ
- 私がメールを送った夜、彼からの返信はなかった。
当たり前だろうな・・と思いながらも、少し寂しかったのは事実。
でも二日ほどした後・・バイトが終わって携帯のメールを見た。 すると彼からの返信があった。
期待していなかったとは言え、嬉しかった。 彼からのメールにはこんなことが書かれていた。
- 722 :◆bfrlm1kjiw :2005/11/20(日)
00:32:26 ID:2R9TfOxZ
- 「こんばんは。はじめまして。正直、びっくりしています。
どうして僕に送ったのかとか、あなたはどんな人なのかなとか。
でも、一つの出会いかもしれないし、よければこちらこそよろ しくお願いします。 口下手だし勉強ばかりして生きてきたから、話していて面白い
かどうかは分かりませんが」
これが、私のケータイの中の恋愛の始まりだった。
より詳細に言えば、現実に持ち込むことが出来ない恋愛。
- 745 :◆bfrlm1kjiw :2005/11/22(火)
01:08:44 ID:8PZLqp56
- メールをする前から彼のことを好きだったこともあって、彼とのメールはとても楽しかった。
メールでの彼は、実際の彼と同じように控えめで謙虚で、私がどんな話をしてもそれに 合わせて自分の考えを語ってくれた。
自分の考えを確固として持っていた人だった。
およそ私が今まで出会ってきた人とは全く別のタイプ。
私には新鮮だったし、メールからも人柄の良さが伝わってきた。
- 748 :◆bfrlm1kjiw :2005/11/22(火)
01:28:20 ID:8PZLqp56
- 彼と話せば話すほど、私は彼を好きになっていった。
軽く男性不信になっていた私だったけれども、やっぱり心のどこかで
男の人に期待していた部分はあったから。
私には父親がいないから、子供の頃はよく寂しい思いをしていた。
母親が不安定な人だったから、子供の頃はよく私も理不尽に 怒られては悲しい気分になっていた。
そんな私の昔話を聞いて、彼は優しく慰めてくれた。 今までずっと一人で寂しかったんだね。
でもツラくて寂しい思いをしたなら、その分自分の子供にしっかりと 愛情を注いであげればいいと思う。
自分が寂しかった分、子供を大事に大事にしてあげて欲しいな。 子供が幸せになれば、きっとユキ(私の名前です)も幸せになれると 思うから。
と。
今まで表面的に優しくされたことはあったけれども、こんな風に 私を諭してどんな風に生きればいいかということを話してくれた
人はいなかったから、私はとてもうれしかった。
でも、彼と話せば話すほど、彼を好きになればなるほど、私は
ツラク苦しくなっていった。 だって、私たちはメル友として会うことは出来なかったから。
本当は店員とお客さんという関係で何度も会っているということ を彼に話せなかったから。
偶然を装って彼と仲良くはなれたけど、そもそものきっかけが 私の卑怯な思いつきによるものだということを、私は話せなかった。
- 773 :◆bfrlm1kjiw :2005/11/23(水)
00:29:06 ID:f5HlV9qS
- 彼を好きになればなるほど私はツラク悲しくなっていったけれども、
それと同時に私は不安にもなっていった。
彼が私のこと(メール内の私のことも、店員としての私のことも)を どう思っているのかさっぱり分からなかったから。
彼には彼女がいないこと、前の彼女とは半年ほど前に別れたことは 聞いていたけれども、恋愛に関してはそれ以上先の話には進めなか
った。 冗談っぽく、メールで「今好きな人はいますか?」 なんて聞いてみたりもしたけど。
(もちろん、馬鹿な私はよく行く喫茶店の店員さんが・・なんて回答に期待し ていたw)
でも何となく、彼自身が自分に恋愛の話に関しては拒絶しているような気がした。
仕事も人柄も立派な人なのに、恋愛に関してはまるで自信が無いというか、
およそ自分が他人から愛されるわけはないというように思い込んでいるよう なところがあった。
- 774 :◆bfrlm1kjiw :2005/11/23(水)
00:41:42 ID:f5HlV9qS
- 私はどちらかと言うと誰にでも積極的に話しかける方だったけれども、
実際店員とお客さんとして接する彼との間には深い溝があるような気
がした。 私が必死に笑わせよう、仲良くなってもらおうと頑張っていても、彼は いつも少しそっけない。
あくまで事務処理的な会話ばかりで、時々笑ってはくれるけど、それは 本心から笑っているのではなく、ただただ私に合わせてくれているのだ
ろうなと思った。 ちなみに当時の私は、彼を何とかして笑わせよう、関心を持ってもらおう・・と 必死でしたw
そんな私の姿が他の店員にバレない訳もなく、すぐに彼との関係について 他の店員さんからも色々と冷やかしを受けることになる。
(根がいじられたがりなので、嫌なわけでは全くなかったのですが) バイト仲間からも、彼に対して色々質問はしていたらしい(私のことを
どう思っているのかとか)。
そんなある日、彼から初めて話しかけられた。
名刺を渡され、「よければメールや電話でもお話してみませんか?」 ・・と。 そのとき私は、泣いてしまった。
本当はうれしいはずなのに。 自分のズルイ行動のせいで、今更自分のアドレスを彼に教えるわけには いかなかったから。
自分の行動の卑劣さが嫌になり、泣かずにはいられなかった。
私は、仕事中にしかも彼の前で号泣してしまうという失態を 演じた。
そして彼の心を深く深く傷つけることとなってしまった。
- 800 :◆bfrlm1kjiw :2005/11/24(木)
00:47:10 ID:ALpNF4wp
- 彼の前で大泣きしてしまったその日。
私は店長からこっぴどくしかられた。 そして同僚からも、厳しく説教された。 そりゃそうだ。
うちのお店はある程度の規則はあるけれども、基本的にお客さんとはフレンドリー。
中でも彼のことは、店長含めみんな気に入っていたのだし、それを除外したとしても 紛れもない私の落ち度。接客ということだけを考えても。
そして何より、みんなが私の彼に対する好意を知っていた。 みんな私のことを思って言ってくれているのが分かったから、
怒られたこと自体はちっとも嫌じゃなかったけど、私の心は とても痛かった。 自分の卑怯さに。 彼の心を傷つけたことに。
何より、彼にもう会えないのが何よりもツラかった。
その夜、私は慣れないお酒を一人で飲みながら、なるべく考えないように
考えないようにして早く眠りにつきたかった。 でも・・普段ないことに、その夜は彼の方からメールが着た。
そしてその日から、私は今まで知らなかった彼の内面を知ることになった。 全てに恵まれているようで、ひどく歪んで、誰も寄せ付けない。
でも本当はとても繊細で、誰かに愛して欲しくてたまらなかった。 そんな彼のことを知ることになった。
この辺りの経緯から、中川さんの話には妙に感動してしまいました。 でも同時に思います。
何も持っていない私が、彼の心を解放することが出来るのかなぁ・・と
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