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- 710 :676:2005/11/19(土) 22:53:08 ID:pE1DZIPQ
- 私が彼と初めて会ったのは半年前のこと。
私は喫茶店の店員で、彼はそのお店の常連だった。
彼を初めて接客した時のことは今でも覚えている。 およそ私が今まで出会ったことのない品の良さと礼儀正しさ。
ずっと貧乏でつつましく過ごしてきた私にとって、彼の品格? は少し眩しかった。 自分がなりえない者に対する憧れと、自分のコンプレックス
のせいで。
- 712 :◆bfrlm1kjiw :2005/11/19(土)
23:22:06 ID:pE1DZIPQ
- 彼は時々店に来た。
いつもパソコンを開いて仕事をしたり、勉強をしたり。
平日の夜や土日も、とにかく彼はいつも忙しそうだった。 そしてとても礼儀正しく、いつも私に聞いてくれた。
「本日のコーヒーは何ですか?」・・と
私はコーヒーにはあまり詳しくなかったのだけれども、
彼にちゃんと答えたいがために必死にコーヒーの勉強 をした。
彼の結論はいつも一緒。
「じゃあ本日のコーヒーをショートでお願いします」 でも、私の話をちゃんと聞いてくれて、いつもオススメ
を受け入れてくれるのがうれしかった。 だって私の家は母子家庭で、母親も不安定な人だったから、
私の話を聞いてくれる人なんて初めてだったから。
- 713 :◆bfrlm1kjiw :2005/11/19(土)
23:29:32 ID:pE1DZIPQ
- 彼は他の店員さんにも優しくて、正直他の店員に優しくしている
彼を見ていると寂しくなる(嫉妬ですきっと)こともあったけど、
誰にでも優しい彼を見ると少し嬉しくなった。 自分の好きな人がみんなに優しいのは嬉しかったから。
私はいつも時間を見つけては、彼に話しかけていた。 「いつもお仕事お疲れ様です」 「今日も暑いのに大変ですね」
「ゆっくりしていって下さいね」 などなど・・
彼はきっと女の人には慣れていなかったのだと思う。
いつも、私から声をかけると少しびっくりして緊張していたから。 でも少しした後にはいつもにこやかに微笑んで私と話してくれた。
最後の言葉はいつも同じ。 「いつもありがとうございます」
- 714 :◆bfrlm1kjiw :2005/11/19(土)
23:36:04 ID:pE1DZIPQ
- 私が彼に惹かれた理由は幾つかある。
まずは彼の大人びた態度と、常に他人に対する気配りを忘れない姿勢。
父を知らず不安定な母親に育てられた私にとって、彼は一番「父性」を 感じさせる存在だった。
この人なら、私を大事にしてくれるかも・・という期待があった。
あとは、言葉の節々から伝わる彼の誠実さと真面目さ。
今まで数は少ないとは言え、不誠実で不真面目な男に泣かされて きて若干男性不信になっていた私にとって、彼の存在はとても 大きかった。
男の人にもいい人はいるのだな・・と。
ちなみに彼は公認会計士の仕事をしている。
彼の仕事を聞いた後、思わず2chで公認会計士について調べてしまったw 真面目で実直で、彼のイメージとピッタリの仕事だなと思った。
- 717 :◆bfrlm1kjiw :2005/11/20(日)
00:01:43 ID:2R9TfOxZ
- それは春から夏に移ろうかという季節。
梅雨も終わり、海開きがそろそろ始まろうかという頃。
その日、彼は初めてコーヒー豆を私のお店で買った。 いつもお店で飲むだけだったのに。 その時私は彼の相談に乗っていた。
「おばあちゃんにコーヒー豆をプレゼントしたいのだけど、どんなものが いいのかな?
コーヒーは好きだけれども刺激が強すぎるのは控えた方がいいと思うの ですが・・」
私は今までのコーヒーに関する知識をフル動員して、彼の要望に応えた。 そして彼の携帯番号を知ってしまった。
彼は自分の携帯番号を顧客名簿に記入したから。
番号だけでメールを送ってちゃんと到達するのはボーダフォン同士だけ。
だから私はあまり期待していなかった。 彼がボーダフォンである確率は1/4だったから。 でも私は彼にメールを送ってしまった。
「はじめまして!私は21歳でフリーターをしているのですが、 もしよければメールしてみませんか?
色々話せる友達が欲しいと思っているので、もし気が向けば よろしくお願いします!」 ・・と。
- 718 :◆bfrlm1kjiw :2005/11/20(日)
00:09:26 ID:2R9TfOxZ
- 彼がボーダフォンだという期待も無かったし、仮にそうだとしても
彼から返信が来る確率はとても低いのだろうな・・と私は思ってた。
それに返信が来たとして、そこから話が発展する可能性なんてほと んど無いのだろうなということは分かっていた。
それでも私はメールを送れずにいられなかった。 どうしても彼との繋がりが欲しかったから。
店員とお客さん・・という関係のままで我慢することは出来なかったから。
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